理由と言い訳
親友ちゃんからLINEが来て「母のケアマネさんが急に辞める事になり、ギリギリでグループホームを見つけて来てくれた。見学を勧められたけど場所が遠いのがネック」とあった。
アクセスを調べたら全然許容範囲レベル。
グルホの最寄駅には、ターミナル駅の南口からバスが出ているけど本数が少なく経由コースで50分弱かかる。
メリットは始発から乗るから座れるくらい。
電車だと乗り換えはあるもバスの半分近い時間で最寄駅につける。
電車の本数も少なくないし、JRから私鉄の乗り換えで構内を移動するのが少し面倒な程度。
もともと希望していたグルホが彼女の自宅からすぐ近くだったので、それからすれば全て遠いとなる。
彼女は旦那とうまくいってない。
結婚してすぐ価値観の相違から別居したくらいで、亡くなった舅さんが取りなして、子供ができ一件落着になった経緯がある。
家庭環境の差って大きいよね。
彼女は姉がいて二人姉妹。
お母さんは専業主婦。食事は薄味、肉より野菜や魚中心で日々手作り。
旦那は弟がいて二人兄弟。
お母さんはバリバリの保険外交員。
肉が大好き、外食も娯楽も大好き。
姑さんは悪い人じゃないけど言い方が強い人だった。
嫁ぎ先で「家事なんて手抜きでも死にゃしないわよ!若いうちは、パートでもいいから働いて自分の稼ぎで堂々とエステでも買い物でも楽しみなさい」って言う姑。
旦那も年下のせいか、奥さんには老けて欲しくない。
それより旅行や趣味を楽しみたいって考え。
自分が育った家庭環境を否定された気になったのかも。
どちらが正しい間違いって話では無いわな。
親友ちゃんは倹約に努め、細々へそくりを貯めるの、子供が大きくなるまで働きたくないからって言う。
元サヤに戻るも溝は埋めれなかったみたい。
その子供も就活真っ只中。
姑さんはその後、パーキンソン病を発症、認知症もあり徘徊と転倒を繰り返すようになり昨年やっと特養に入れた。
民間の老人ホームもあるが旦那が特養にこだわり続けた。
一方、親友ちゃんのお母さんは90才、認知症状は無いが車椅子で一人暮らし。自分でトイレに行き尻モチをついて立てなくなると、首から下げた携帯電話で「助けてえー」と電話をしてくる。
真夜中だろうが悪天候だろうが、チャリ10分の母親宅に救出に向かう。
旦那がリストラにあいイライラがすごく「いーかげん施設に入れろよ!俺の母親も入ったんだから」と怒鳴られることが多くなった。
旦那はやっと再就職が決まり、仕事柄リモートで週の大半は自宅にいる。
慣れるまで仕事で神経も使うのだろう。
お母さんにポータブルトイレを提案したら「寝床の横にトイレがあるのはヤダ」と却下→気持ちはわからんでもない。
様々な提案は聞く耳持たず「あたしなんか死んだほうがいいんだよう、生きていたら迷惑がかかるよう」と泣いて話を流す。
迷惑がかかると思うなら家族の言う事を聞いて欲しい。
(これが家族の本音だよなぁ)
確かに毎日、しかもデイサービスの日は送り出しと迎えで2回も母親のところに行っていたら、リモートワーク中で働いている自分のことも世話をやいてくれと思うだろう。
彼女には、絶対ヤダの部分とワガママを見極めて、時には強行突破も必要だよとアドバイスした。
うちのオカンも他人が自宅に上がるのはヤダと強い拒否があるも「このままだとワシが犯罪者になる」と危機感を募らせ強行突破した。
今はヘルパーさんが優しくしてくれるから喜んでると話した。
「落とし所は週2回のデイサービスの送り出しだよ、そこにヘルパーを入れてもらえば、一日2回行く必要がなくなるから少しは旦那も納得するべ」と話した。
真夜中の尻もちはオンコールサービス→随時対応サービスを使うことになった。
(随時対応サービスをやる介護事業所は少ない)
それでも厳しくなってきて、要介護3では特養は申込はできるけど入居は難しい。
彼女はこじんまりした施設なら母親も受け入れるかもとグルホに目をつけた。
本来、グルホは軽度の認知症の人がスタッフにサポートしてもらいながら、みんなで家事作業をしたりしながら共同生活をする場所。
複数に遠回しに断られ、70代のケアマネさんが最後に頑張って今回のグルホを探してきた。
お母さんの状態でも受け入れはOKみたいだから一度見学してみてと言われて、ワシに相談してきた。
親友ちゃんとは長い付き合い。
彼女の裏の心理も見えてくる。
お母さんがグルホに入ったら、やることがなくなり喪失感もあるだろうし、働けない理由も無くなる。
一人息子の就職が決まればそれを言い訳もできない。
要するに彼女はお母さん同様の生き方をしたいのよ。
今日食う米が無いわけじゃない。
ワシは専業主婦のどこが悪いの?って思うけど、旦那にはそう見えないのだ。
「俺の母親は働きながら俺と弟を育てたんだ」
彼女はヘル2資格がある。
昔、姑と一緒にいたくないからとワシの紹介でヘルパー講座に通った。
訪問ヘルパーもほとんどの会社は定年を廃止した。
それでもワシの会社では、60才以上は他社で現役の人を除いて採用はしていない。
(採用する会社もたくさんある)
彼女には、ウチを紹介するから、ギリギリ50代のうちに非常勤で入って、週に1件1時間の仕事でいいから繋いでは?と話した。
そこそこ大手なので福利厚生はかなりしっかりしている。
どっちみち、未経験者は適性をみるので最初からたくさん紹介はしない会社だし、旦那には「お母さんが入居しても家も片付けないといけないし、息子の就活が済んだタイミングで本格的に働きたい」と話せば納得するんでない?とも。
仕事をする「いかにもなパフォーマンス」も大事だから。
旦那には「俺の母親は施設に入れた。おまえの家は金が無いわけじゃないだろう?ヘルパーを入れるとか、施設に入れるとかして少しは働けよ」言われている。
旦那のリストラ理由は、けっこう重い基礎疾患があり、休みがちになったせいもある。
外資系は厳しいからね。
病気を抱えて仕事する俺の身になれと言うことだよね。
人には性格がある。
仕事をしたくないと言うより、社会に出る勇気が無い人もいる。
これから先の人生、夫婦仲良くとはいかないにしても、親友には穏やかに暮らして欲しいな。
背中は後押しするから。